大きなシールの変型カットの限界に挑戦してみた?!カットラインの注意点をご紹介

試作・検証

こんにちは!大判プリントの達人です!

シールやパネルを製作する際に、
以下のようなロゴやデザインに沿った自由な形でシールを製作したい!と思ったことはありませんか?

自分だけの自由な形のシールを作るときに気になるのが…
「どこまで複雑な形なら切れるの?」
「このぐらいの幅はカットできるのかな?」
そんな疑問にお答えするために、今回は実際に様々な形のステッカーを作って検証してみました!

カットラインとは?

シールやパネルなどを好きな形にカットする際に必要なのが「カットライン」です。
丸や星形、キャラクターのシルエットなど、自由な形に切り抜く場合にはどこをカットするかを指定するための線(パス)が必要です。

カットラインは通常、Illustratorソフトのパスで制作する必要があります。
正確なカットを実現するためには、このカットラインの作り方や注意点をしっかり押さえることが大切です。

カットライン製作方法は過去のブログもご参考ください。

変型(フリーカット)とは?

変型(フリーカット)とは、四角形(定型)以外のカットのことを指します。
星形やキャラクターの形など、自由な形に切り抜くことを「変型」または「フリーカット」と呼んでいます。

四角形(定型):左   変型(フリーカット):右

大判プリントの達人では、
正方形やA1やB2などの規格サイズ以外でも(例:410mm×720mm)、角が90°の四角形であれば「定型・四角形」として扱われます。

角が丸くなっている場合はカットラインが必要なため、変型(フリーカット)になります。
※一部商品を除く

どんなカットラインがだめなの?

大判プリントの達人では、カットライン製作時の注意点としてキレイな仕上がりを実現するために、以下のようなお願いをしています。

  • カットラインデータは必ずIllustratorのペンツールで作成してください。
  • レイヤーは「画像」「カットライン」「トリムマーク」で分けてください。
  • 制作後に、カットラインを選択してトリムマークをつけてください。
  • 幅は最小でも10㎝以上になるように制作をお願いします。(細すぎると折れやすくなるため)
  • カットラインは黒線(K100%)で表示してください。(デザインが黒でカットラインが見えなくても問題ございません)
  • カットラインまで印刷したい場合は、塗り足しは10mm追加して下さい

カットラインの作成については以下もチェックしてみてくださいね。

≫カットラインの作り方・注意点:https://obanprint110.com/guide_cutpath.htm

また、記載の事例以外でもデータチェックの際にカットが困難だと判断する場合がございます。あらかじめご了承ください。

実際に検証してみました!

先ほど紹介したカットライン製作時の注意点の理由を検証するため、
今回は大判プリントの達人の定番、大判ステッカーのシールメディアを使用して実験を行いました!

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大型変形シール

①余白(塗りたし)なし

まずは初めに、印刷や断裁ずれによってデザインが切れないようにするための「塗り足し」についてです。
カットの端まで印刷をしたい場合に、塗り足しがないとどうなるのかを検証してみました!

製作データ:ピンク色でカットします

印刷直後がこちら。
仕上がりは正直なところ、あまり違いがわかりませんでした……

そこで、塗りたしなしデザインを背景が暗い場所に貼ってみました。

左:塗り足しあり 右:塗り足しなし


塗り足しがないと、背景が暗い場所では断裁のズレにより所々メディアの白が目立ってしまいました。
端まできれいに印刷するためには、やはり塗り足しが必要ですね。

ズレ具合には個体差もありますが、弊社では変型カットの場合塗りたし(余白)幅10mmは取っておくのがおすすめです。

②アンカーポイントの数が多いとどうなるのか?

アンカーポイントとは、Illustratorなどのソフトで用いられる線(パス)を操作するための点のことです。
アンカーポイントの多いデータは、データが重くなります。また、アンカーポイントが多い場合はカットする機械の故障につながるほか、カットの仕上がりもガタついてしまいます。

今回検証するデータはこちらです!

同じカットラインで、パスの単純化を行いアンカーポイントの数を減らしたデータ(左)と、アンカーポイントの数が多い右側のデータで比較してみます!

アンカーポイントが多いデータ(右)はカットライン周りの用紙がかなりボロボロになってしまっていました。

しかし、左右のデータのシールを並べて貼ってみたところ、遠目で見る限りは大きな違いがわからない仕上がりとなりました。
思ったよりきれいに仕上がりましたが、機械の故障につながる可能性があるため、アンカーポイントはできるだけ減らしてご入稿ください。

アンカーポイント数の減らし方は、以下のブログもご参考ください

③長細いデザインは切れるか?

次に細長いデータのカットを検証してみます。
果たして上手にカットができるのでしょうか?

製作データ:ピンク色がカットラインです。

この剣はサイズがW75mm×H495mm、最も細い部分は20mm(2cm)と超スリムなデータです!

印刷したものがこちら!

特に普段と違う変化は感じられませんでした。

実際に剥離紙からはがして張り付けてみました。
すると、細長いデザインのため、慎重に貼りつけないと食い込みの部分から破れてしまいました…。

作成する形状にもよりますが、食い込んでいる部分は特に破れやすいため、注意が必要です。
カットラインを食い込みのない滑らかなラインにするのも有効です。

今回の大型変形シールは粘着力が強めの素材のため貼り付けることができましたが、時間の経過によってどうなるかがわからないのと、素材によっては貼り付けられない可能性があるので、

弊社では幅は最小でも100mm(10㎝)以上にしていただくようにお願いしております。

④入り組み・幅 検証

次は、先ほども話題に上がった、入り組み、食い込みと、幅の検証です。

検証したデータはこちら!
あらゆる角という角をわざと入り組ませてみました。

印刷後、入り組み箇所がえぐれてしまっているのが分かるかと思います。

剥がして張り付けてみると、このような感じです。
カット同士の最も細い幅部分は約0.5mmですが、ある程度カットできていました。
しかし、本来カットラインは直線でデータを作成していましたが、実際には食い込み箇所が少しカーブがかかっています。正確にカットすることは困難なようでした。

お次はメディア幅ギリギリ残したこのデータで検証を行います!

汗の根本の幅が非常に細く入り組んでいます。無事にカットできるのでしょうか?

印刷後がこちら。
幅が細い箇所は大きくえぐれてしまいました。

その影響で機械が刃こぼれしてしまったのか、入り組みのない箇所もぼそっとした仕上がりになってしまいました。

貼ってみると全体はこのような仕上がりに。
一見問題なさそうですが、幅が細く入り組んでいる箇所を拡大してみると、、

ゆっくり慎重に貼りましたが、今にもちぎれてしまいそうでひやひやしました。
はがす際には確実にちぎれてしまいます。

検証結果・データ作成に守るべきポイント

5つの検証を行なったところ、ある程度のカットは可能なことが分かりました。
ただし、安全なデータをカットする際に比べると、食い込みの強いデータや、メディア幅が極端に狭いデータは用紙のえぐれや、機械に大きな負担がかかることが分かりました。

では、どのようなカットラインだと綺麗で品質が良いものができるのでしょうか?

実際にカットラインガイドに沿った100点満点のデータがこちらです。

※塗り足しがある場合はカットラインの外側に+10mm塗り足しを作成してください。

まとめ

今回は大判ステッカーのカットについていろいろと検証をしてみました。想像以上にしっかりとカットしてくれた印象ですが、だいぶ機械に無理をさせてしまいました。

今回使用した素材は大型変形シールですが、他のシールによっては結果も変わりそうな気がしました。
また、商品によって使用するカット機械が異なるため、あくまでも参考程度にご覧いただければ幸いです。

印刷機の故障につながるため、ご注文・ご入稿の際はチェックリストに沿ってデータを作るのが大切なんだ!ということを知っていただけると嬉しいです。

※今回の検証データは実際の入稿では再入稿となってしまいます。
お客様に品質の良い商品をお届けするため、カットラインは製作ガイドに沿っての入稿をよろしくお願いいたします!

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!!

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